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ちょうし恋旅ものがたり 第2話 〜伝書鳩〜 |
(2016,10,04, Tuesday) |
企画書を書き上げてランチに出たのは、1時をとっくに過ぎた頃だった。オフィスのビルを出ると、外の空気は秋を通り越して冬の匂いがする。
「さて、今日は何を食べようかな‥」
肌寒さに首をすくめながら、私は歩き出した。今年の夏は長かった・・。若手社員で作る営業企画。初めはみんなの考えがバラバラで苦労したけど、秋風が吹きはじめた頃スーッと意見がまとまりだした。企画書もできたし、ひと段落したら、どこか短い旅行にでも行こうかな・・。
そんなことを考えながら歩いていると、ふと歩道の植え込みに鳩がいることに気が付いた。この辺りは街路樹も多いし鳩は珍しくないけど、その鳩は普通とはちょっと違う気がして、目が離せなくなった。
そのまま歩道に面しているお店に入り、ランチを注文してテラス席に陣取った。もちろん鳩を観察するためだ。
よく見るとその鳩は体形がスリムで、顔だちもイケメン。でもなぜかほとんど動かない。どこかケガでもしてるのかな・・。思い切って席を立って近づいてみると、鳩は逃げる様子もなく首をかしげて私の顔をじっと見ている。そして私も、その鳩がナンバー付きの脚環をはめていることに、ようやく気がついた。
そのあとの私は自分でも不思議なくらい、初めてのことをどんどん行動に移した。急いでランチをすませると、持っていた大きめのハンカチで鳩をそっとくるんでトートバックに入れた。スマホで「伝書鳩」と検索すると、すぐに迷い鳩についての連絡先がわかった。画面に表示ざれた伝書鳩協会に電話すると、専門の宅配業者が引き取りに行くとのこと。その間も、鳩は足元に置いたバックの中から、時々私を見上げている。
「待っててね、すぐに飼い主さんにあわせてあげるから。」
私も自然と鳩に話しかけていた。
オフィスに戻ると、営業課はこの小さなお客様のことでワイワイ大騒ぎになった。こんな風にみんなで騒ぐ感じも久しぶり。
協会の対応も早かった。夕方前には宅配の人が来て、鳩を手際よく箱に入れると、「ご協力ありがとうございました」と言いながら足早に出て行った。
それから2日後。協会から私に電話があった。鳩が届いたこと、保護をした私への感謝の言葉、そして残念ながら届いた時には、鳩は箱の中で死んでいたこと・・。
聞きながら私は、何かが込み上げてきて、涙があふれるのを感じた。
「その鳩、どこへ飛んでいくはずだったんですか」
泣いていることに、なるべく気づかれないように私が聞いた。
「伝書鳩のレースで、千葉県の銚子市に向かう途中だったんですよ」
協会の人が、やさしく答えてくれた。銚子市・・。聞いたことはあるけど、千葉のどの辺にあるのか、どんな所なのか、全然知らない土地。なのに私はまた、不思議と初めてのことをしようとしていた。
「私も、その銚子市へ行ってみたいです・・」
協会の人の「そうですか、いい所ですよ」という声が、やわらかく耳に入ってきた。
(作:いずみちえこ)
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お待たせ致しました!ちょうし恋旅PR企画 「ちょうし恋旅ものがたり」 待望の第2話。
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ご覧いただきました皆さまからのご意見・ご感想を大募集しております!
メール:info@be-com.jp
ただいま「ちょうし恋旅」参加者募集中です。
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| 事務局通信 | BeCOM | 12:04 PM | comments (0) | trackback (0) | |
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ちょうし恋旅ものがたり 第1話 〜「渡辺」という名字〜 |
(2016,07,07, Thursday) |
「それにね宮内さん、知ってます?」
と彼は続けた。
「渡辺って名字の人の七割は、ナベとかナベちゃんって呼ばれてるらしいんですよ」
「へぇそうなの」
私は伝票を整理しながら、顔も上げずに返事をした。
彼は同僚のナベちゃん、29歳。
けしてイケメンではないけれど、私のようなオバサンにも親切で仕事もそれなりに熱心。目下の悩みは彼女がいないことと、「ありふれた名字や呼び名のせいで、取引先に名前と顔を覚えてもらえない」ことらしい。
取引先に顔を覚えてもらえないのは名字のせいじゃないと思うよ、そう言ってやろうかと思った時、入口のドアが開いて「こんにちは、回覧板、置いて行きますね」というやわらかい声が聞こえてきた。
私は思わず顔を上げて、帰ろうとした彼女を呼び止めた。瞬間的にオバサンの本能が働いたのだ。
「あら、ユイちゃんご苦労様!ねぇちょっと待って」彼女はちょっと驚いた様子だったが、私はかまわずに話しかけた。
「ユイちゃん、紹介するわ。この人、うちの会社のワタナベサトルくん。ナベちゃんって呼ばれてるの。ナベちゃん、こちらの彼女はワタナベユイさん。お隣の保険ショップにインターンシップで来てる大学院生さんなのよ」
ナベちゃんは渡辺という名字に反応したのか彼女の素晴らしい笑顔に反応したのか知らないが、口を半分あけてぼーっとユイちゃんを見ている。わかったかナベちゃん、顔を覚えてもらうのに大切なのは名字じゃない、その人自身の魅力だよ・・ナベちゃんにそれを理解させたと確信したあと、もう一つおせっかいをするつもりで私は言った。
「あのねナベちゃん、ユイちゃんは長野県出身なんだって。銚子のいい所、いろいろ案内してあげなさいよ」
ユイちゃんは素直に「宜しくお願いします」と言いながら付け加えた。「でも私、今週いっぱいでインターンおしまいで・・週末に長野に帰るんです。」
私は驚いた。何に驚いたかというと、私がユイちゃんに「えっそうなの?」と言うより早くナベちゃんが「そうなんですか、それじゃ次はインターンシップじゃなくて旅行で銚子に来て下さい。僕、案内しますから」と言ったことだ。今度は私が口を半分あけてナベちゃんを見る番だった。
若い二人はひとしきり話をはずませたあと、それぞれの仕事に戻った。
ユイちゃんは、お隣の保険ショップに帰り、ナベちゃんは取引先へと出かけていった。
私も再び伝票の整理にとりかった。いつか渡辺ユイちゃんがナベちゃんの彼女のユイちゃんになることを想像しながら。
(作:いずみちえこ)
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BeCOMの2016年度の新規事業として「ちょうし恋旅」を企画しました!
この事業はBeCOMメンバー以外のさまざまな分野の皆さまともご一緒に取り組んでいきたい!と考え、実行委員会形式での開催とさせていただきます。
キャストも、参加者であるゲストも、それぞれに「旅する気持ち」「恋する気持ち」を楽しんでいこう? そんな想いで進めている実行委員会の雑談の中から生まれたこのプロジェクトPR企画の「ちょうし恋旅ものがたり」。月に1回更新の予定です。
ご覧いただきました皆さまからのご意見やご感想を大募集してまいります。
作品、つくっちゃった!もうれしいです。ぜひご連絡ください♪
メール:info@be-com.jp
「ちょうし恋旅」の詳細は、facebookページ「ちょうし恋旅」から配信中です!いいね!よろしくお願いします。
またinstagramで銚子のきれいな写真に#ちょうし恋旅をつけて更新しませんか?お待ちしています。
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| 事務局通信 | BeCOM | 01:35 PM | comments (0) | trackback (0) | |
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銚子円卓会議サイト誕生 |
(2016,03,25, Friday) |
銚子円卓会議のホームページが開設されました
BeCOMも構成団体の一つとなっております銚子円卓会議では、
中間支援活動の一環としまして、町づくりの「見える可」を目指し、
サイトを開設いたしました。
http://choshientaku.com/
主な内容→*銚子円卓会議とは? *この指とまれ!プロジェクト
*スペシャルミッション *すきくるスターとは?など。
「スペシャルミッション」としては健康寿命の延伸を目指しており、
浅利クリニック浅利先生の健康アドバイスもご覧いただけます。
ぜひご覧ください
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| 事務局通信 | BeCOM | 09:08 AM | comments (0) | trackback (0) | |
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