9/30ことばの冒険の部屋 ブックトークご報告
9月30日の「ことばの冒険の部屋」のブックトーク内容をご紹介します
今回は、我が家の本棚から、ハラハラや冒険をイメージして、小1~4年生向けに選んだ本を8冊紹介。お気に入りの本が見つかる確率を上げるために(!)たくさん紹介したいなと思いました。(担当:BeCOM嶋田)
▶『富士山うたごよみ』俵万智(著)U.G.サトー(イラスト)
ブックトーク前に1冊。短歌のススメ&作品募集のお知らせです!こちらは俵万智さんという有名な歌人が、子ども向けに作った短歌集。短歌では、例えば、「真下なる雲はたっぷり太陽の光を吸って輝くウール」(俵万智)のように、「5,7,5,7,7」、合計31のリズムで、ことばをパズルのように組み合わせて、気持ちや景色などを自由に表現します。
難しいときもあるけれど、楽しいので、皆さんも作ってみてください。できあがったら、こちらの企画「U-18短歌募集~心を表す言葉と出会う~」への応募、お待ちしています!
では、本の紹介です。せっかくなので、それぞれの本について短歌のリズムで紹介します!
▶『このほんよんでくれ!』ベネディクト カルボネリ (著) ミカエル ドゥリュリュ― (イラスト) ほむら ひろし (翻訳)
おおかみの願いは「この本よんでくれ」「食べないから」ってホントかな~
ちょっとだけハラハラの、かわいいお話からスタートです。公園のベンチでお父さんが子供に本を読んであげているのをこっそり聞いたオオカミ。そのお話がとっても気に入ります。が、お話の途中で「もう帰る時間だ」と帰り始めてしまいます。まだ終わってないじゃないか!と思うオオカミですが、お父さんがうっかり本を落としていきます。オオカミは本を拾って嬉しそうに開きました。でも、読めない!文字が読めないオオカミは森の動物たちに読んでと頼みますが、みんな怖がり読んでくれません。ドキドキしながらも読んでくれることになったうさぎに、「もう一回!」「もう一回!」と何度も読んでもらおうとねだる様子がかわいくて気に入っている本です。
▶『月へミルクをとりにいったねこ』アルフレッド スメードベルイ (著) 垂石 真子 (イラスト) ひしき あきらこ (翻訳)
カニ、うさぎ、ミルクと老婆、ヒキガエル 月にはいろいろいるらしい
今回の「ことばの冒険の部屋」の前日は仲秋の名月でした。月にはお餅をつくウサギがいると言われますが、国や地域により、カニや、本を読む女性など、様々です。スウェーデンで作られたこのお話では、月にミルクを持ったおじいさんとおばあさんが描かれています。お母さん猫は、月にミルクがあると言われて、子猫たちのために月が見える方へ走り続けます。森を抜け、沼や野原を、走って走って走り続けます。私は、このまま走っているだけでは月に届かないよな、、、と思いながら読みましたが、ただただ走って行った先で、最後は、月のミルクを得て満足そうな様子で終わっています。どういうわけか?読んでみてください。
▶『注文の多い料理店』宮沢賢治(著)
大人気 注文たくさんあるお店 とびらのはりがみ きみも読んでね・・・
どんなお料理屋さんか楽しみですが、読んでいくうちに、じわじわ怖くなっていくかも。宮沢賢治さんの本では子どもの頃から『銀河鉄道の夜』とこの本が特に好きです。因みに、最近はまなみちゃん(「ことばの冒険の部屋」卒業生/今日はボランティア参加に向けて見学してくれました)を思い出す本です!数年前、「ことばの冒険の部屋」でこれを紹介した後、まなみちゃんが気に入ってくれて、まなみちゃんは宮沢賢治の「どんぐりと山猫」を読んだことがあるなど雑談したからです。好きな本のことを誰かとお話するのも楽しいですね。
▶『火曜日のごちそうはヒキガエル』ラッセル・E. エリクソン (著) ローレンス・ディ フィオリ (イラスト) 佐藤 凉子 (翻訳)
ぼくのこと食べるつもりのきみのこと ちょっと好きかも でもさようなら(ヒキガエルのウォートンの目線)
名前など友だちいなけりゃ必要無い なのに「ジョージ」とおれをよぶやつ(ミミズクのジョージの目線)
火曜日は、ミミズクの誕生日。その日のためにご馳走として捕まえてきたのがヒキガエルのウォートンです。誕生日まであと6日。ウォートンはミミズクが出かけている間にこっそり逃げ出す準備を進めようとしますが、うまくいきません。ミミズクが帰ってくると二匹はお茶を飲んだり、色々とおしゃべりをして過ごします。友だちなんていらないと言っていたミミズクでしたが、おたがい友達のように思える時もありました。でも、火曜日が近づいてしまいます。ウォートンはミミズクを残していくのは寂しい気もしましたが、ついに脱出に成功します。その後どうなったか?ずっとハラハラしたり温かい気持ちになったりと、お話の最後までいろんな気持ちで楽しめます。
▶『おともだちたべちゃった』ハイディ・マッキノン (著) なかにしちかこ(翻訳)
おともだちいいやつなのに食べちゃった ひとりぼっちでさびしいよ~~~
前半終了。ここで一冊、読み聞かせをします!こちらは上記と違い、ハラハラする間もなく食べちゃっています!悪い子ではないのです!モンスターの習性?気づくと食べちゃっていたんです。
▶『ただいま!マラング村』ハンナ・ショット (著) 齊藤 木綿子 (イラスト) 佐々木 田鶴子 (翻訳)
にぎやかな大きな町ではぐれた日 4つのツソのさけびもまぎれ
タンザニアという国のマラング村に住んでいた、ツソという4才の男の子の実話がもとになっています。お父さんは亡くなり、お母さんはいなくなり、貧しいツソと8才のお兄ちゃんは、親戚の家でお手伝いをしたり、怒られたりする辛い毎日を過ごしていました。ある日、お兄ちゃんがツソを連れて家を抜け出し、大きな町を目指します。でも人ごみの中でツソはお兄ちゃんとはぐれてしましました。大きな声で「おにいちゃん」と叫んでも、賑やかな人ごみの中でその声はかき消されてしまいます。そこから、ツソの道端での暮らしが始まりました。日本でそんな子がいたらすぐに誰かが気づいてくれますが、ツソがいたところには、路上で暮らす子どもがたくさんいて、よくあることでした。その後ツソが幸運にも施設に保護されるまで約7年、11才の頃まで路上で生活していました。(今日の参加者の皆さんは6~9才ですね。)施設では勉強時間や食事が与えられ、文字もどんどん覚えたそうです。施設で5年ほど暮らし、ついに自分の村が分かり帰ることができたのは、16才の頃でした。これは実際のお話で、本に載っている写真の子がツソです。時が過ぎ、今は30才くらいのようです。
▶『100年たったら』石井 睦美 (著) あべ 弘士 (イラスト)
百年後、三百年後、千年後、また会うぼくら どこのなにだろう
表紙が気に入り手に取った本ですが、お話もとても好きなものでした。なかよしの鳥が亡くなりそうで泣くライオンに、鳥は「100年たったらまた会える」と言います。それは鳥がライオンを励ますための嘘でしたが、間もなく鳥が死に、いつしかライオンも死に、そして100年たったころには、、、また100年たったころには、、、色々なカタチで出会うライオンと鳥。私は、鳥が〝リスの子のうえに はじめてふった雪のひとひらになったこともある。”が好きです。そのリスの子はあのライオンでした。これは実話ではないけれど、もしかしたら本当にそうかもしれない、と思うとちょっと温かくなる本です。長い長い時間の旅を感じたりもします。
▶『はじめてのうちゅうえほん』的川泰宣, てづかあけみ, 斎藤紀男 , 村田弘子 (著)
ぼくの上 火星や土星 さらにおく 無限のうちゅう まどから見ている
最後はこちらの本から、宇宙へ冒険クイズです。①月まで新幹線で行くとどのくらいかかるでしょう?13日?53日?3年? ②惑星ランキング!一番寒いのは?小さいのは?大きいのは? 惑星のお名前を呪文のように言ってみよう!“水金地火木土天海!”
以上!
1冊でも気になる本に出会ってもらえたようなら嬉しいです。ほとんどが図書館にある本なので、気になる本が見つかったら借りてみてください。
本は好きじゃないな、と言う子は、まだ好みの本に出会っていないだけかもしれません♪